2000年頃から、韓国で起こった韓国加湿器殺菌剤事件。
事故というよりこれはもう殺人事件だ。
その全貌に迫る。
韓国加湿器殺菌剤事件<事件概要>
2006年当時、医学的にまた解明されていなかった小児間質性肺疾患が流行。
患者たちはその後、急激に症状が悪化し死亡。
間質性肺疾患は、人間の肺が末端から繊維組織化されて固まっていく病気。
しかし、発生率は高くなく、急激に症状が悪化するケースは珍しい。
悪化するケースと言っても、その苦痛は壮絶なものだ。
ほこりの多い空気や黄砂の中にいるとき、一時的に感じる苦しさとは次元が違う、息が締め上げられる感じだ。
胸部をペンチで締め上げるような圧迫。
短時間でも気が遠くなる苦痛。
治療方法はなく、一生その苦しみがカラダに残り、生存に必要な酸素を得られないと死に至る。
その被害者は、主に室内で暮らしていた女性や小児がほとんどだ。
翌年春にも同様の原因不明の怪現象が発生した。
韓国政府は事態を深刻に捉え2011年には大規模な疫学調査をおこない、あるものに辿りついた。
それが加湿器殺菌剤だ。
その後、加湿器殺菌剤は全て販売中止し廃棄処分した。
その後、原因不明の間質性肺疾患は韓国で発生しなくなった。
韓国加湿器殺菌剤事件の原因
1994年、韓国の化学メーカー「油公」が後の殺人マシン「加湿器殺菌剤」を世界で初めて「開発」。
そして2001年、問題の成分、PHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)を含む製品が誕生。
PHMGHは、すでに殺菌剤として広く使用されていた。
人体の皮膚に毒性が比較的少なく、様々な用途で使われていた。
しかしPHMGは、加湿器に入れて呼吸器に噴霧した場合、人体にどのような影響を与えるのかテストもしておらず分かっていなかった。
PHMGを呼吸器に使用するために依頼を受けた科学者たちの回答は「安全性は確答できない」であった。
しかし、科学者の回答を無視し、商品化した悪魔の使いがいたのだ。
開発者と販売者、そして許可を出した政府の官僚だ。
「PHMGは今まで使われていたのなら、加湿器殺菌剤に使えない理由があるか。安全だ。」
これは、殺人行為であり、企業犯罪だ。
その後、2000年代はじめより、殺人加湿器が韓国で広く使われ始めてしまった。
「人体に安全な成分を使用して、子供にも安心」このキャッチフレーズで購入した多くは妊婦がいる家庭やまだ幼いこどもがいる家庭だ。
つまり被害者の多くは家の中にいることが多い、妊婦や子供が犠牲となってしまったのだ。
被害者の症状は今でも現在進行形だ。
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韓国加湿器殺菌剤事件遅すぎた謝罪
事件発生から5年後。
オキシー・ レキットベンキーザー社の日本・韓国法人代表、アタ・シャフダー氏ががソウルで謝罪会見をした。
5年も経過し、ようやく謝罪したことに怒りがおさまらない遺族がつかみかかり、殴るなどのハプニングがあったが、世論の理解は遺族側にあった。
発生から5年経過しての謝罪は誰しもが怒り思うことだった。
この製品の販売を許可した政府が、2012年に加湿器殺菌剤が安全だという虚偽表示をしたという理由で、製造者のオキシー・レキットベンキーザーやホームプラスなど4者に、課徴金5200万ウォン (約482万円)を課した。
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世間の反応は情状酌量といった判決であった。
被害規模と被害者の苦痛で考えると納得がいかず、意味もわからない。
何もかも、世論の納得のいかない歯切れの悪い殺人事件となってしまった。