東大阪集団リンチ殺人事件

指名手配されていた無職 小林竜司(当時21歳)が、母親に付き添われて岡山県警玉野署に出頭。

瀕死の状態で生き埋めにし2人の命を奪った殺人事件。

東大阪集団リンチ殺人事件事件のきっかけ

平成18年5月頃[藤本:徳満]サークルのサッカーを通じて友人関係にあった東大阪大学4年生の藤本とアルバイト生活をしていた徳満優多(当時21歳)、満優多(当時21歳)。

仲の良かった彼らがトラブルになったのは藤本の彼女(当時18歳)と知りながら、徳満が「付き合って欲しい」などとメールを入れるようになったことだ。

よくある男女関係のもつれだ。

藤本の彼女は次第に徳満に惹かれていった。

それを知った藤本は、激怒し徳満を呼び出して殴り合いのケンカとなる。

このケンカを制したのは藤本だった。

藤本は徳満に、「これで終わったと思うなよ。明日、指定した場所に来い」と次の展開を告げる。

その翌日、徳満の友人で東大阪大学3年生の佐藤勇樹(当時21歳)が、「そんな危険なところに一人で行かせるわけにはいかん。自分も一緒に行ったる」と、佐藤も同行の意を示し、藤本の指定した場所に2人で出かけた。

東大阪集団リンチ殺人事件増える関係者と集団暴行

[藤本,岩上,他1名(3名):徳満,佐藤(2名)]藤本が指定した場所に行くと、藤本は無職の岩上哲也(当時21歳)らを含む、4人の男で待ち構えていた。

結局、徳満と佐藤は数時間にわたり半殺しの集団暴行に合う。

更に、藤本らに対し、岩上は暴力団の名を出し、「慰謝料50万円払え。払わなければ、生き埋めにしたるぞ」と脅迫。

後日、藤本と佐藤は、佐藤の中学時代の同級生である無職の小林竜司(当時21歳)と 大阪府立大学3年生の広畑智則(当時22歳)に相談。

すると小林は、「ヤクザなんか怖くもなんともないわ。上等じゃ。やったろーやないか」と意を伝えた。

そこで、小林は土地勘のある岡山で報復計画を練る。

そして藤本、岩上に「慰謝料の50万円を払う」と誘い岡山で待ち合わせすることとなった。

東大阪集団リンチ殺人事件大きくなっていくトラブル

[藤本,岩上,会社員,他2名(5名):小林,広畑,徳満,佐藤,他5名(9名)]

6月18日の深夜、藤本を中心としたメンバー5名が、岡山のインターチェンジを下りて空き地に駐車し、待ち合わせの場所にいたのは、徳満、小林を含む7名。

小林「佐藤、お前を殴ったいう奴はどいつじゃ?」

佐藤「こいつら2人ですわ!」と、藤本と岩上を指差す。

小林「フーン、で、もう1人のこいつは?」

藤本「待ってくれ、こいつは運転手やってもろうただけやねん!こいつは関係ない!許したってくれ!」

小林「ほぉー、で、組の名前出したのはどいつや?」

佐藤「それはこいつです!」と岩上を差す。

岩上「あ・・、いや、あれは本当は・・。」

小林「残念やったな。わしゃあ、ヤクザ大嫌いなんじゃ!」

そう言いながら手に持った警棒を頭上に振り上げ、思いっきり岩上の頭部めがけて斜めに振り降ろした。

鈍い音とともに岩上の横顔を直撃。

悲鳴を上げ、岩上が倒れ込む。

小林「おぅ!お前らもやったれ!」小林側の数人が一斉に襲いかかった。

ここから一方的なリンチであった。

バットや金づち、鉄パイプで殴打を繰り返し、倒れた所を数人で蹴る。

藤本と岩上は顔の原型がなくなるほど腫れ上がる「や、やめて下さい・・。」「すいませんでした・・。」懇願し謝罪するも残酷な集団リンチはなおも続く。

当事者である、徳満と佐藤は目の前の光景に手も足も出ず見ているだけだった。

そんな二人に小林側の広畑が気づく、広畑「ええんか?見とるだけで。女を守るんやないんか徳満。借りを返すんやなかったんか佐藤」

小林が二人にバットを差し出す。

小林「おめーらもやれ!誰のためにやっとると思うとんねん!」バットを受け取った徳満が躊躇していると、ぐったりした藤本を、小林が起こして顔を上げ「オラ、やれ!」と徳満に言う。

藤本にはまだ意識がある。

小さな声で「ご、ごめん・・。やめて・・。」次の瞬間徳満は思いっきりバットで藤本の顔を横殴りにした。

ぐったりとなって倒れる藤本。

小林「おう、佐藤!お前はこっちじゃ!」小林が今度は倒れている岩上を起こし、佐藤にバットで殴るように命令した。

佐藤も躊躇したが、岩上の顔面をバットで殴打。

これでタガがはずれた徳満と佐藤はこの後も、瀕死状態の二人に対しなおも暴行。

小林「はっはー、やりゃあ出来んじゃねーか。」するとその時「キャーッ」という悲鳴が上がった。

通行人の女性が無残な光景を目の当たりにし悲鳴をあげた。

警察に通報される危険を察知し、広畑「おう、場所を変えるで!」と指示。

瀕死状態の2人をトランクに詰め、会社員も車に乗せて次の犯行現場へ向う。

東大阪集団リンチ殺人事件残虐化する集団暴行

6月19日午前3時最初の集団暴行があった現場から約5km離れた、岡山市と玉野市の境の山間部。

かつて小林が働いていたという会社の産業廃棄物処理場に場所が変わる。

広畑「いいとこ知ってんな。」

小林「昔、この会社に世話になってな。夜になるとこのゴミ置き場には誰も来えへんねん。」

2人ともさらに顔面は腫れ上がり、服は裂け、全身血まみれの状態。もはや立つことも出来ない。

徳満と佐藤はことの重大さと不安が増していく。

「このままじゃ死んじまう。」

その時、「おめえ、確かユンボ使えたな?穴を掘ってくれや。」と指示処理上に置いてある建設機械の操作を仲間に指示。

佐藤「小林、まさか埋める気なんじゃないだろうな・・?」

小林「ああ。」

広畑「マジか!?」

小林「奴らにゃヤクザがついとんじゃろ?ここまでやっちまったんや。始末するしかねーだろ。」

広畑「それもそうやな・・。奴らにゃ消えてもらった方がええ。」

広畑が仲間に配置と指示を出し、残虐な集団暴行は向かってはいけない方向へと向う。

東大阪集団リンチ殺人事件一線を超えてしまった集団暴行

深さ1.5mの穴に、藤本を引きずり起こし穴の横に立たせ、藤本の仲間である会社員に警棒を渡す。

小林「こいつをコレで殴れ。手加減したらお前も殺す。」

会社員は泣きながら藤本を1度殴る。

さらに指示が続く。

小林「おめーがこいつを突き落とせ」

会社員「そんな無理です!仲間を突き落とすなんて・・」

小林「そうかぁ、残念やな。オメエだけは助けてやろうと思うとったが。おい、穴もう1つや!」

会社員「ま、待ってくれ・・!」

藤本に近づく藤本「や、やめてくれ・・。」

会社員「元はと言えば俺は関係なかったのに、何でこんな目に遭うんや・・。」

藤本「お願いやから殺さんといて・・。」

小林「やれや」

会社員「藤本・・、俺かて命はおしい。」

藤本の背中を突き飛ばす。

藤本は穴の底へ転落。

次に小林は大きな石を会社員に渡さす。

小林「おい!こいつをあいつに向かって投げろ。」

会社員「そんな・・、そんなこと出来ません。」

小林「さっさとせいや、オメエも埋めるぞ」

会社員は藤本めがけ石を投下。

鈍い音が穴から聞こえた。

小林が必要なまでに、会社員に対し、ここまでやらすには理由があった。

藤本の殺害に加担させることにより、会社員の警察への口封しが理由だ。

小林「おう、お前らもやれ!」仲間はその言葉に続き、石やコンクリートなどを藤本めがけ投げ込む。

小林「もうええやろ、土、入れよか。」

広畑「せやな。」

その後、まだ生きている藤本の上に土砂をかぶせていった。

まもなく、藤本の入れられた穴は完全に埋められた。

冷酷非情なまでに藤本は生きたまま埋められたのだ。

最初の被害者、藤本が殺害された。

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東大阪集団リンチ殺人事件歯止めの効かない殺戮

藤本の殺害後、小林たちは岩上をトランクに入れ、マンションに戻る。

岩上の処理についての相談だ。

その時、小林は電話をかけ相談をしだした。

電話の向こうにいたのは岡山市の暴力団関係者だった。

そう岩上はヤクザの名を出し脅していたが、 実際は小林がヤクザと関係を持っていたのだ。

暴力団関係者「ヤミ金融で借金漬けにして金を奪え。」

小林「あきまへんは、もう自分で立つこともできひん、ほどボコボコにしてもうたんですわ。」

暴力団関係者「金が取れんのならいらん。警察に通報されてもとアカンし、処分せえ。」

暴力団関係者から言われた言葉通り、小林は実行に移す。

再び、岩上を連れ現場に戻ってきた。

藤本を埋めた場所から5m離れた場所に穴を掘り始めた。

穴を掘っている最中に、両腕を頭の上で粘着テープで縛り、両足も縛る。

穴が掘られ岩上も穴の中へ突き落とされ、土をかぶせ、埋められた。

藤本も岩上も窒息死であった。

死亡解剖の際、鼻や器官にも土が詰まっていた。

藤本は埋められる直前に石を投下されている間も、息があったということになる。

残るは藤本を突き落とした会社員だ。

会社員は数日、監禁されていたが、警察に言わないことを条件に解放。

惨劇を目の当たりにしていた会社員は解放されても生きた心地がしなかった。

もし「アイツやっぱり警察にチクリよるんとちゃうか?」などとなれば自分も殺される・・・。

そんな事を考え、恐怖に耐え切れず、会社員は警察に出頭して事件の全貌を全てを話した。

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東大阪集団リンチ殺人事件逮捕と母への愛

会社員が警察へ助けを乞うた後、小林は逃亡していた。

そんな小林に対して指名手配も出る中、事件発覚から3日後の6月23日の夕方、小林は母親に連絡する。

小林「友達から困っていると相談を受けたんやけど、相談に乗っているうちに殺してしもうた。」

母親「本当なら、自首しなさい。」その翌日、小林はまた、母親に連絡する。

小林「これから自首する。一緒に来て欲しい。」

その歳、小林は母に対しメールを出す「母さんの子で幸せでした。」

6月25日、母の住む自宅近所の神社で待ち合わせた二人は、神社で手を合せ警察へ出頭。

玉野署は無職 小林竜司(当時21歳)容疑者を逮捕。

逮捕される直前、小林は母に向けこのような言葉を残している。

「死刑にならんかったら出てこれるから。長生きしてな。」25日の小林の逮捕以降。

28日までに暴行に加担した9人は全員逮捕された。

母に「死刑にならなかったら・・・」と伝えた小林竜司は一審・二審ともに死刑判決。

徳満優多は懲役11年、佐藤勇樹は懲役8年、広畑智規は主犯格として無期懲役となる。

その後、小林竜司被告は2011年3月25日、最高裁でも上告棄却の判決を受け、死刑が確定。

残忍非道な殺害で逮捕された小林だが、母に向けた愛情を他人に向けていれば、おこらなかった事件だ。