全日空857便ハイジャック事件の犯人

それは、奇しくもオウム真理教の地下鉄サリン事件の直後に発生し、再び、日本中を震撼させた事件となった。模倣犯?愉快犯?

全日空857便ハイジャック事件

1995年6月21日11時45分頃、ちょうど、オウム真理教の地下鉄サリン事件から、間もないこの時に山形県上空で羽田空港から函館空港に向かっていた全日空857便が、ハイジャックされた。

犯人は第一報が入った時点では、グループでの犯行なのか?単独犯なのか?それすらわからなかった。

わかっていることは、犯人はオウム真理教の信者と名乗り「サリンが入っている」という透明な液体が入った容器とアイスピックをちらつかせていた。

そして犯人の要求は麻原の釈放、そして函館空港での燃料補給と羽田空港への引き返しだった。

そもそも、地下鉄サリンから間もない時ということもあり、オウム真理教、麻原の忠実な信者の犯行とも、十分に考えられた。

犯人は乗員乗客365人を人質に機内に立てこもった。

犯人はさらに機内の乗客の目と口に粘着テープを貼るようにCAに指示。同日12時42分に函館空港にハイジャック機が到着。

その後、全ての乗客は1階後方の席に、犯人とCAの2人は1階前方に。

1時間に1回程度、違う上着を着た犯人が見回りにきていたが、乗客の中から、この状況を打破する動きをする人間が現れ始めた。

犯人が何回目かの見回りを終え戻ったその時、人質となっていた男性がトイレに入り、携帯電話で警察本部に連絡。

そして、最新の情報を警察に伝えたのだ。

その情報の中には、重要な情報がたくさんあった。

中でも、事件解決のカギを握る情報、「犯人は一人」乗客は怯えながらも、犯人の独り言も聞き逃さなかった。

「一人というのがバレたのかな・・・」

その情報はしっかり警察に報告が行き警察も慎重ながら、突入の機会を待つ。

メディア各社も詰め寄る中、警察から「中継はコクピットのみの撮影」と協力を要請。

慎重かつ精密な作戦の準備がとられていた。

ハイジャックから16時間が経過。

人質となる乗客にも、次第に疲れの色が出始め、さらに精神的にも限界が近づいていた。

時は深夜、午前3時42分。機体の片側ドアから非公式の特殊機動隊員が突入。

わずか3分。

3時45分に犯人が確保された。

負傷者は犯人のもっていたアイスピックで刺された女性1名が軽傷したものの、大事には至らず、死者もでずハイジャック事件は無事解決された。

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全日空857便ハイジャック事件の犯人

搭乗記録からは「コバヤシ サブロウ」という名で登録されていた事が公表されている。

男性は当時53才。

「コバヤシ サブロウ」は偽名の可能性もありその後、精神疾患があることが判明し公表されていない。

知り得る限りで、「コバヤシ サブロウ」は東洋信託銀行(現在の三菱UFJ銀行)社員で、精神疾患を理由に休職中だった。
その後「コバヤシ サブロウ」は逮捕の翌日に懲戒解雇となる。

しかし「責任能力の有無」に関しては『有』の判断、後に起訴された。

短絡的かつ穴だらけの犯行

違う上着をきた見回りは複数犯を装うため「コバヤシ サブロウ」は見回りの際に着替えていた。

『サリン』と言われた液体はただの水であった。

またオウム真理教側も、立てこもりの最中に関与を完全否定していた。

もし勝手な行動をとっていた場合は破門である旨を信者には周知させていた。

この確認がとれたあとに警察より突入の指示が出されたのだ。

裁判で、「コバヤシ サブロウ」は懲役10年が確定。

全日空への損害賠償請求5300万円の支払いを命じられた。

事件からおよそ20年の月日が経ち、刑期を終え世間に出ていることだろう。

「コバヤシ サブロウ」は今、何を思う

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全日空857便ハイジャック事件 まとめ

通報したのは、ギタリストの告井延隆氏。

告井さんは、歌手・加藤登紀子さんのバックバンドを務めており北海道でのコンサートに向かう途中で事件に巻き込まれたのだ。

しかし、告井氏の勇気ある行動で事件が解決したというのは言うまでもない。

またこの事件がきっかけで非公式特殊部隊を警視庁が「SAT」として公表することになった。

その後のSATの活躍はまた改めてしていきたいと思う。