1981年7月17日に起きたアメリカ史上最悪の建築物事故『ハイアット・リージェンシー空中通路落下事故』
くしくもこの時、ダンスイベントがあり、テレビ局のカメラも入っており、カオスと化した現場の映像も生々しく残されている。
後に紹介するが、なぜこのような事故が起こってしまったのだろうか。
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ハイアット・リージェンシー空中通路落下事故<事故内容>
1981年7月17日アメリカ・ミズーリ州カンザスシティーに総工費約120億円をかけた、40階建ての最新高級ホテル、『ハイアット・リージェンシー』事故はまさにその『ハイアット・リージェンシー』で起こった。
当時の最新の技術で建築され、特徴でもあったのが、1階部分のメインエントランスフロアを一望できる「空中通路」。
奇しくも事件はその「空中通路」が 事故の原因となってしまった。
1981年7月17日。その日は最新の高級ホテルでのダンスイベントという事もあり、人が関係者を含め、およそ、1,700人の人が集まっていた。
同日19時5分、事故は突然起こった。
「パンッ!パンッ!」という場に似合わないような音が2回聞こえた。
それは空中通路からだった。
人々が空中通路を見た時には4階の空中通路が60人の重さで変形を始めていた。
それから数秒後にエレベーターの如く4階と繋がっていた2階の空中通路も崩落。
人たちの頭上に落下した。
事故に巻き込まれ、下敷きになった人の中には、即死の人や、手足が切断された人、生き埋め状態になった人たちがいた。
緊急を要する状況であるにも関わらず、救助活動は困難を極めた。
崩落した空中通路が重く通常の機械では釣り上げることができなかった。
一刻を争う事態に最終的に、窓を破ってさらにパワーのある機械で持ちあげた。
死者114人、怪我人200人超。
アメリカの建築物の事故として史上最悪の惨事となってしまった。
ハイアット・リージェンシー空中通路落下事故<事故原因>
地元の新聞社に調査を依頼された建築技師ウェイン・リシュカ。
ウェイン・リシュカは設計図面と事故現場の写真から調査を開始した。
すると、設計図面と事故現場の写真に不一致部分を発見。
それは、本来溶接されるべき通路と吊り棒の接合部分が、大きなスクリューナットで固定されただけの重要な部分だった。
これをホテル建築を請け負った施工会社に指摘した所、建築コスト削減のための、勝手な設計変更をしたと供述。
強度も何も考えず、コストダウンをした残念な結果だ。
その強度は、当時の建築法の基準の わずか3分の1しか無かった。
つまり、人が乗らなくても、 崩落する危険は十分にあったのだ。
ホテル建築を請け負った施工会社の社長、ジャック・ギラムの持つ営業免許は剥奪。
被害者や遺族に対して賠償金約280億円が支払われた。
アメリカではこの事故を教訓に安全な建物の建設管理を強化したのは、言うまでもない。
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ハイアット・リージェンシー空中通路落下事故<まとめ>
日本でも、耐震偽装などの問題は、現代でも発生している。
結果として施工会社のコストダウンを図った結果というものが多い傾向にある。
なぜ、建築士にはライセンスが必要なのか。
そして、施工会社は建築士の作図を守らなければいけないのか。
この事件を教訓にしてほしい。