患者の爪を剥いでいた「爪剥ぎ看護師事件」の真相

2007年6月25日に北九州八幡東病院の東6階病棟の責任者である上田里美看護課長、ストレス発散のため、入院していた患者たちの爪を剥いでいたというショッキングな事件が公になった。

一体、上田里美看護課長はなぜこのような事件を起こしてしまったのか。

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看護師が患者の爪を剥いでいた事件<事件詳細>

事件の発覚は「上田里美看護課長が患者の爪を剥がすところを見た」という他の看護師の目撃情報からだった。

2007年6月25日、2007年6月8日から15日にかけて、上田里美看護課長は70歳、認知症の老人患者足の親指や中指の爪をはがし全治10日間のけがを負わせたとして、傷害容疑で逮捕された。

上田里美看護課長が患者の足の爪をはがしていたことが病院側から公表され逮捕後、上田里美看護課長を懲戒解雇。

メディアは病院の不祥事「爪剥ぎ看護師」とし大きな話題として取り上げられた。

北九州市の第三者委員会も、上田里美看護課長の行為を「虐待」と認定。

しかし、上田里美看護課長は容疑を全面的に否認。

「足の爪をはがしていたというのは虐待ではなくケアだった」という。

実は、高齢者の爪は歪み、分厚くなる、盛り上がるなどの変形、その他、爪水虫などの影響でするなど若い人たちと比べ爪に問題があるケースが多い。

問題なのは、そのままにしておくと、靴下などを履いたり、ぶつけたりした際に爪が剥がれたり出血することがある。

また、変形した爪などの場合は皮膚に食い込んでさらに激しい痛みをもたらすこともある。

それを防ぐために専用のニッパーを使い、皮膚から浮いてしまった爪を取り除いてあげるのが、上田里美看護課長が行っていた爪のフットケアと呼ばれる行為だった。

上田里美看護課長の主張はあくまで足の爪を剥がしていたのではなく、フットケアをしていたまでだという。

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看護師が患者の爪を剥いでいた事件<裁判の行方>

第一審の公判は2009年2月23日までの間に、8回開かれ2009年3月30日、一審判決が下された。

『有罪』

上田里美看護課長は懲役6か月、3年間の執行猶予の有罪とまった。された

有罪の理由は、次のとおりである。

  1. 患者さんが高齢の認知症などであったこと、
  2. 上田さんは多少の痛みや出血があっても構わないという考えで、深く爪を切ったこと、
  3. 爪切り行為自体に楽しみを覚え、それ自体を目的としていたこと、
  4. 家族らに虚偽の説明をしたこと、
  5. 病棟の看護師間で、フットケアであるとの認識が共有されていなかったこと

引用:li.nurse.or.jp/news/public_download/245/41.pdf

なにより爪きりは看護師の通常業務には含まれていなかった。

上田里美看護課長は即控訴。

第一審の有罪は上田里美看護課長にとってとても納得のいくものではなかった。


※出典:dailymotion.com/video/xudxe5

しかしながらその主張は一貫しており弁護を担当した東弁護士は面会を重ね上田里美看護課長の主張を全面的に信じるに至った。

さらに新たな事実がその段階で分かった。

なんとフットケアを知らない看護師が上田里美看護課長の行為を虐待と勘違いしてしまったというのだ。

その事実を知った日本看護師協会は、同病院での看護師及び関係者からのヒアリング。

また、弁護士やフットケアのプロフェッショナルからのヒアリングを行った。

それらの情報を総合的に判断した結果、上田里美看護課長の行為は虐待ではなく自らの看護実践から得た技術と経験知に基づく看護ケアであると判断。

日本看護師協会は上田里美看護課長を全面的に支援すると公表。

1.虐待ではなく看護実践から得た経験知にもとづく看護ケアである当初、虐待事件のように報道されたが、現在、検察側、弁護士側の見解も、「虐待するつもりでも、ストレス解消でもなかった」という点で一致している。

2.爪のケアの重要性と看護実践について
爪切りや足のマッサージなどは「フットケア」と呼び、高齢者看護領域では、ケアの向上と普及がすすんでいる。当該看護師の行為は、患者により良いケアを提供したいという専門職としての責任感に基づいた積極的な行為である。

引用:li.nurse.or.jp/news/public_download/245/41.pdf

それを受け、さらにその後、日本有数の爪の専門医、また看護学のトップである看護大学の教授までもが、彼女の行為は“ケア”だったと断言しバックアップ。

第一審の判決は有罪であり、有罪率99.9%と言われるなか結果として上田里美看護課長はこの後『無罪』を勝ち取ることとなる。

なぜ有罪率99.9%が無罪になったのか。

そしてそもそも、上田里美看護課長はなぜ有罪となってしまったのだろうか。

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看護師が患者の爪を剥いでいた事件<裁判の行方②>

有罪率99.9%の刑事裁判で『看護師が患者の爪を剥いでいた事件』が無罪となった要因以下のとおりと言われる。

①何よりも、爪切りが適切になされていたという事実の重みがあること西岡医師、川嶋教授も、爪切り後の写真から、自信をもって証言できたものと思われる。
検察側のY証人すら、爪切り後の状態は、パーフェクトであると認めた。
このような適切な爪切りと爪剥ぎを前提とした自白調書に矛盾があることが明らかになり、控訴審において自白調書の信用性が排除された。
このような爪切りを行うには、看護師の熱意と技術が必要であることは明らかである。よこしまな目的など入る余地はない。

②適切な弁護活動が行われたこと 捜査段階での精力的な弁護活動(3名の弁護士がほぼ連日の接見)が行われた。
また、虚偽の自白をした後、荒井俊行弁護士による接見により、上田さんが看護師としての誇りを取り戻し、真実を語ることが可能となったことも大きな要因である。
さらに、一審の裁判で有効・適切な弁護活動が展開され、西岡名誉教授らの専門家の証言を得ることができたことは、控訴審裁判官の審理の方向性に影響を与えたと思われる。

③一審段階からの日本看護協会を中心とした専門家集団の実質的なバックアップがあったこと 日本看護協会は、平成19年10月4日、「日本看護協会の見
解」として、「虐待ではなく当該看護師の看護実践から得た経験知に基づく看護ケアである。」と述べ、「爪のケアの重要性と当該看護師の看護実践について」のパートで、上田さんの行為は、「患者により良いケアを提供したいという専門職として責任感に基づいた積極的な行為でした」との見解を発表した。
さらに、西岡清医師、川嶋みどり教授ら専門家が一審証人として、医学的、看護学的に正当な看護ケアである旨の証言をした。

④その他
事件の勉強会や爪ケアを考える会の活動等を通して看護師らの理解と支援の輪も拡大して行った。

引用:li.nurse.or.jp/news/public_download/245/41.pdf

以上のことが要因となり、検察官は上告を断念。

2010年9月30日、上田里美看護課長の無罪が確定した。


出典:kurosakigoudo.jp/?p=15

何より医療行為でないに関わらず看護師として患者を思いやる上田里美看護課長の気持ちが多くの支援者の心を動かし、無罪を勝ち取ることができたと言える。

しかし、なぜこのような大きな問題になるまで発展してしまったのだろうか。

その真相は身内の行動が事を大きくしてしまっていたのだ。

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看護師が患者の爪を剥いでいた事件の真相

今回なぜ「看護師が患者の爪を剥いでいた事件」として逮捕されるまでに至ってしまったのか。

その原因として最大の問題は「職場の人間関係」

女性が多い職場であり「ねたみ」「ひがみ」が起こりやすい状況であるのは言うまでもない。

まず、患者の爪が無くなっているのを見た別の看護士が、これを虐待であると病院側に訴えた所から始まっている。

さらにこの患者の爪の画像が身内の看護師からマスコミに売られている。

この画像を送った看護師は未だわかっていない。

さらに気になる点として病院側の対応の早さだ。

これにも理由があった。

病院側は「不祥事隠し」と受け取られる事を非常に恐れ、公表を急ぎ記者会見と謝罪の準備をしている。

それに加え、高齢者虐待防止法で、虐待行為を見つけた人に市町村の通報を義務づけており、病院側が北九州市に報告したのは、最初の「爪はがし」発覚からわずか12日後だった。

慎重に原因を調べることもなく、報告をし北九州市の第三者委員会も、看護課長の行為を「虐待」と認定した。

ここまで虐待事件が一人歩きすると、その段階で上田里美看護課長一人ではどうすることもできない状況であった事は言うまでもない。

職場での人間関係が希薄で問題が大きくなりかかったとしても、病院側が記者会見で一旦は現在調査中であると公表し、しっかりした調査を行っていれば上田里美看護課長は逮捕されることはなかった。

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